■コラム■教えたがりに一流がいない理由

2024/07/02

少し前に話題になった画像ですが、ご覧になったことはありますでしょうか。とあるボウリング場に掲示された張り紙で、【教えてと頼まれた訳でもないのに、勝手に話しかけて教える行為は迷惑です】と注意喚起するものです。そして厄介な点は「教えたがり」の人達は良いことをしている(役に立っている)と思っているため、迷惑行為だと自覚していない所にあります。だからわざわざこんな張り紙が張られるに至ったようです。

断言しますが「教えたがり」にその道のプロ=一流の人間はまずいません。そして教えてくる内容に関しても大して価値がないものです。
その道のプロと呼ばれる人や一流の人は自分の知識や経験に価値があることを自覚し、そこに誇りを持っています。それを対価(お金)が発生しないのに赤の他人に伝授する意味は何もありません。これをケチだと思うなら、その人がプロと呼ばれるまでの間にどれだけの時間とお金を投資して知識と技術を身に着けているのかへの想像力が足らないと言わざるを得ません。
そんな貴重な知識や技術を「無料で」「わざわざ自分から」教えるわけがないのです。何の得もありません。つまり、無料でしかも向こうから「教えてあげるよ」なんて言ってくる情報や技術に価値なんて無いのです。自分が身に着けるのに大した苦労も費用も掛かっていないから、人に教えても損という感覚が沸かない。これが教えたがりに一流がいない理由です。
プロに教わるのは何でもお金が掛かります。お金が掛かるということは、提供する側(プロの立場)からするとそれに見合った結果を出す責任が生じるということです。求められたことに対して結果を出すという責任感を持って指導に当たるのが正しい「教える」「教わる」の形です。

「教えたがりの人」は教えた相手が上達することを真に望んではいませんし、その責任もありません。あるのは「良い事をした」という自己満足感と、「自分のほうが経験や知識が上である」という相手より心理的に優位に立ちたいという歪んだ優越感です。
「俺は教えた人に上達して欲しいと思っている!」という反論が来そうですが、相手から先に「上達したいのでどうか教えてもらえませんか」と求められていない限りその理屈は通りません。ボウリングで言えばただ友達とワイワイ楽しくやれれば良いんだという人にとっては(ルールやマナーさえ守っていれば)正しい投げ方やスコアなんてどうでもよいわけです。教える側が資格を有しているとか、プロと名乗れるだけの実績があるとか、しっかりと権威があると認識出来る状態。かつ教わる側が「アドバイスや指導を求めている」状態。この2つが重なった時にのみ「教える」「教わる」という行為が双方で成り立ちます。
自分が出来ることを初心者が不慣れに行っていて気になって仕方がないという気持ちも分かりますが、求められてもいないアドバイスは決してしてはいけないと思います。ただ迷惑なだけです。


もしこういった人に出会ってしまったら毅然とした態度でお断りしましょう。お気持ちはありがたいのですがアドバイスは不要ですと。純粋に困っている人を助けたいという気持ちな人ばかりならまだしも、下心や話掛けるきっかけ作りで声を掛ける人間もいますからね。

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