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■コラム■情報という食品添加物
2024/04/09
皆さん芸能人格付けチェックはご覧になりますか。その設問の中に必ず登場する【味覚チェック】。目隠しをした状態で最高級のお肉や魚介類とザリガニやらカエルやらと区別するというアレです。実際これをやって成功する自信はあるでしょうか。僕には全くありません。味音痴というほどひどいとは思いませんが、少なくとも繊細な味覚の持ち主ではない自覚があります。
さて、こんな経験は誰にでもあると思います。
・BBQなど皆でわいわい言いながら作ったカレーがとても美味しく感じる。
・苦労して登った山の頂上で食べるカップラーメンがとても美味しく感じる。
・上司や取引先の偉い方と食事をすると緊張していて味がよく分からない。
・何気なく飲んだワインが後で高級品だったと知り、確かに美味しかったような感じがしてくる。
人間の味覚は、食品の味そのものを感じるという以外の様々な情報(置かれた環境、状況、温度、体の健康状態、時間、年齢…などなど)によって簡単にブレてしまいます。子供の頃食べられなかったものが大人になると美味しく感じたり、夏には食べたくならないけれど冬には無性に食べたくなるものもありますね。
またどんなに好きな食べ物でも、大嫌いな人間と席を同じくして食べなくてはいけない時は全く美味しいとは思わないでしょう。空腹の時とお腹が空いていない時でも味の感じ方が全く違います。
これは面白い話なので紹介したいのですが、うどんやそば、ラーメンをフォークでくるくると巻いて音を立てずに食べてくださいと指示された人は、お箸ですすって食べた時ほどおいしさを感じにくいそうです。あのすする「音」も、美味しさに含まれているのです。静かに食べるラーメンやうどんがあまりおいしくなさそうというのは想像できますね。
器が違おうと食べる場所が変わろうと一人で食べようと大勢で食べようと、当然食品そのものの味は変わりません。なのにその時の状況に応じて「味覚(おいしい)」は簡単に変化してしまう。それほど味覚というのはあいまいで、すぐに情報や環境に騙されてしまうものだとも言えます。
だから目を隠され、舌だけでどれが高級なカニか当てろと言われてもあれだけ外す人がいるのです。意地悪に全部同じ食材を食べさせても、優劣をつけどれかが一番おいしかったと答えてしまうでしょう。脳が「3種類は違うもの」と思い込んでいるのですから。
味覚は舌だけで感じるもので、舌から「おいしい」が伝わっているのかと思いがちですが、実は盛り付けやパッケージなどの見た目であったりその時の自分が置かれている環境や状況であったり、誰と食べるかだったり、さらに言えばネーミングだったりブランドだったり、そういった総合的な情報として処理されているものなのです。味覚は単独で働く原始的な感覚なのかと思いきや、実は高度で複雑な情報処理の結果生じるものだったようです。
下の画像をご覧ください。同じ食べ物なのに右のほうがずっと美味しそうに感じます。人が「美味しそう」と感じるもの、売れている商品やお店にはこうした【情報の添加】がされているのです。今日手に取る食品は、カロリーだけでなくどんな【情報】が添加されているか見てみるのも面白いかもしれません。
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